トピックス

平成31年2月定例議会における渡辺とも子の質問と文京区からの回答

(4)認知症の予防対策・軽度認知障がい(MCI)の早期発見について

ライン

質問 次に、認知症の予防対策として軽度認知障がい(MCI)の早期発見についてお伺い致します。

 認知症初期集中支援や認知症を発症された方々の対応を行う、いわゆる「認知症対策」については区内でも積極的な活動が進められております。全国的な傾向として言えることですが、本人やご家族等が認知症に気づき、医療機関で診断を受ける頃には、認知症は中期のステージを迎えていることが多く発見・診断の遅れから重篤化するケースが散見されています。区内における「認知症対策」の現場に目を向けても、認知症人口の急速な増加に対応し得る人員配置が今後難しくなってくる程、許容の限界点が見え始めています。このことからも、これまでの認知症の方が対象となる「認知症対策」に加え、まだ健康な方々を対象とする「認知症予防対策」の早期構築と実施が必要であると考えます。

 そのような中、健康な状態と認知症の間に位置する予備群とされる、「軽度認知障害MCI」と呼ばれる状態に着目し、予防介入を行うことが、認知症の発症や重篤化の予防にとって最も重要かつ効果的である、と伺いました。

 この予備群とされるMCIの状態とは、日常生活や社会活動は自立しており、今日も働いたり、外出したりと健常者として普通に生活されている状態です。しかし厚生労働省のデータによると潜在的に65歳以上の人口の13%が認知機能の低下がある状態とされています。MCIの方々が何らの情報提供や予防介入がなされず放置される場合、高い確率(年間10%)で認知症に進展するとされる一方で、リスク要因の低減や抑制要因の促進により、約半数は正常群に改善するとの最新の研究報告があり、予防介入の効果が大きく期待されています。

 厚労省データでは、認知症の方が1人、増加した場合の社会コストは、約1,414万円といわれています。国の示す数値を参照し、文京区内の65歳人口(42,930名)の13%(5,581名)が潜在的にMCIであり、1年後にその10%(558名)が認知症に進展すると仮定した場合、来期に区内で新規に発生する認知症社会コストは、約78億9千万円にも上ります。

 家族の無償介護は、介護離職の要因ともなっており、労働力、購買力、税歳入の形で機会損失計上されることとなります。

 認知症予防の実施により得られる効果は3点が挙げられます。

 1点目として、認知症を引き起こすリスク要因(疾病・疾患)は、早めの治療で改善可能なものが多く一時的な認知機能低下で食い止め、予防・改善を図ることができます。

 2点目は、すでに認知症の初期段階である方を発見する場合も想定されますが、認知症の薬は、認知症の初期段階からの使用時に薬の効果が高く、進行抑制効果が高いとされ、認知症の重篤化を予防するに寄与します。

 3点目は、社会保障費の増大、認知症ケアにあたる現場負担の抑制につながります。

 従来の認知機能検査法は、認知症か否かを確認するものであり、本年度からは保険償還対象となっておりますが、健康な方やMCIの方の認知機能評価には適さないとされています。

 そこで、健康な方やMCIの方の定期的な認知機能評価に最適であるとされる「認知機能検査法」があることを知りました。

 この定期チェック方法とは、名称を「あたまの健康チェック」と呼ばれ、アメリカで研究開発され、高次機能検査などで用いられる10の単語想起テストをもとに資格者や専門家でなくても職能を問わず検査ができ、10分でテストの実施、評価採点、結果レポート、データ蓄積作成まで行える簡易認知機能チェックであります。

 愛知県尾張旭市が2013年に自治体として初めて導入し、現在では、「認知機能低下=認知症」ではなく、「認知機能低下=身近な生活習慣病などが関与」しているとしています。認知機能低下の改善や予防行動に認知症予防効果が表れていると伺い、昨年12月に区議団で視察をおこなって参りました。

 全国ではすでに50の自治体で導入されておりますが、東京23区ではまだ活用されておりません。医療機関や大学機関はじめ日本脳ドック学会のガイドラインでも有用性が示唆されております。

 また、区内では2018年4月からエーザイ社が認知症ではない健康な方向けの認知機能スケールとして、この「あたまの健康チェック」を国内推奨スケールとしています。 

 認知症人口の増大に伴います社会保障費の肥大、そして、区民の生活への多大な影響を阻止すべく、従来のいわゆる認知症チェックを用いたアセスメントや認知症発症後のケア対応を行う「認知症対策」もとうぜん重要課題でありますが、働き盛りの健康な頃からの認知機能低下予防の知識啓発と私たちでも受けられる認知機能の定期チェックの機会を提供し、潜在的に存在するMCIの顕在化と積極的な予防介入を行う「認知症の予防対策」の手段として、健常者からMCI群の方の認知機能評価に適した「あたまの健康チェック」を導入し活用をするべきであると考えますが区長のご所見をお伺い致します。


ライン

touben 次に、認知症の予防対策についてのご質問にお答えします。

現在、区では、脳の活性化を目的とした各種教室を開催するほか、パンフレットや講演会を通じて、認知症やその予防に関する普及啓発を行っております。

 ご指摘の「あたまの健康チェック」については、今後の認知症予防施策の研究課題としてまいります。

ライン

 

>NEXT (5)高齢者の見守りキーホルダーの提案